株式会社KELK(社長:斉藤雅美、本社:神奈川県平塚市、以下「KELK」)は、モータの排熱を利用したエネルギーハーベスト(※1)による自己発電で動作し、ベアリングの異常をセンシングする、電池レスIoT振動センサ 『熱電EH振動センサデバイス KELGEN(ケルジェン) SD KSGD-SV』の新製品を2021年3月より販売することを発表しました。
新製品は、モータに置くだけで、排熱により上昇したモータ表面の温度と外気とのわずか10℃温度差(※2)から動作し、ベアリング等の回転機器の異常をセンシングします。2020年2月に発売した現行品に比べ、測定間隔(一回の測定に要する電力を蓄電する時間)はそのままで、振動測定の周波数レンジとサンプリング点数が大幅に向上した新製品は、ベアリングの異常の初期に発生する振動をセンシングします。さらに、有線式や携帯型の振動診断計に備わる故障箇所の特定を支援するエンベロープFFT(※3)機能を搭載した上位製品をラインナップします。
【KSGD-SVの測定仕様の概要】
【KSGD-SVの基本仕様】
設備の老朽化や熟練技術者不足が進む設備機器の保全において、突発的な故障による機会損失の防止と修繕費用の削減のため、IoTセンサにより設備故障の予兆を検知し、適切なタイミングで保全を行う予知保全(CBM ※4)が求められています。設備故障原因の約半数を占める回転機器において、異常発生後の早い段階に現れる振動をセンシングするIoT振動センサの導入が求められていますが、設置コストと運用コストの課題により普及は進んでおらず、多くの設備において保全員による巡回点検が続いています。
モータに置くだけで、温度差10℃から動作する電池レス IoT振動センサ 『熱電EH振動センサデバイス KELGEN SD KSGD-SV』は、配線工事と電池交換が不要なため、設置コストと運用コストを大幅に削減します。ベアリングの初期の異常をセンシングする新製品は、保全員による巡回点検の削減と設備保全のCBM化を推進します。
KELGEN SDシリーズは、設備の状態をセンシングするIoTセンサの設置からデータ収集までの作業を短時間で完了できます。KELGEN SDによりセンシングしたデータは、無線通信網KELGEN SD-Netでつなぎ、管理PCなどで収集できます。収集したデータは実証評価用のデータ管理ソフトウェアKELGEN SDMにて管理PCに保存できる他、ユーザの社内データベースやクラウドに保存することもでき、幅広く活用できます。通信網の設置は、付属する通信網設置支援ツールにより短時間で作業を完了でき、デバイスの設置位置の変更や設備のレイアウトの変更に柔軟に対応できます。KELGEN SDシリーズはIoTセンサによる設備機器のCBM化を推進し、故障による機会損失の防止、巡回点検の削減、修繕費用の削減を支援します。
【KELGEN SDシリーズの概要】
モータの排熱を利用したエネルギーハーベストにより動作する 電池レス IoT振動センサ 『熱電EH振動センサデバイス KELGEN SD KSGD-SV』は、日本プラントメンテナンス協会が主催する2020年の TPM優秀商品賞 開発賞、及び、モノづくり日本会議(※5)と日刊工業新聞社が主催する2020年の“超”モノづくり部品大賞 電気・電子部品賞を受賞しました。コマツでは、各工場において生産設備のダウンタイムの削減や保全効率化を目的とした故障予兆検知用IoTセンサとして、電池レスのKELGEN SDによる設備保全のCBM化を進めています。
株式会社KELKは、1957年からコマツが始めた熱電半導体の研究開発を前身とし、1966年の設立から長年培ってきた熱電変換技術を核に、排熱を電気に変える革新的な製品の開発、導入を進めています。今後も、熱電エネルギーハーベスティングを電源としたIoTデバイスによる設備機器のデジタル変革(DX)の支援と、熱電変換技術の様々な分野への活用を通じた省エネルギー化の推進により、Society 5.0と脱炭素社会の構築に貢献していきます。
※1 EH:Energy Harvest。環境発電。環境中の微小なエネルギー(熱,光,振動,電波,等)から電力を得る技術。
※2 温度差:KELGEN SD電源部の受熱側の表面温度と雰囲気(外気)温度との温度差
※3 エンベロープFFT:振動波形の振幅成分を包絡線(エンベロープ:Envelope)で外挿し、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform)することで、衝撃の周波数を特定し、故障箇所の特定につなげる方法。
※4 予知保全(CBM):Condition Based Maintenance。設備の劣化状態を把握・予知して部品の交換や整備を行う状態基準保全。予防保全に比べ約10%のメンテナンスコスト削減、設備のダウンタイム削減等の効果がある (出典:米国エネルギー省 Operations & Maintenance Best Practices)
※5 モノづくり日本会議:日本のモノづくり産業の発展・競争力強化を図ることを目的とした約2000社が参加する経済産業団体。