2020年02月14日

世界初FFT解析を搭載した熱電EH振動センサデバイスを発売

株式会社KELKは、従来のKELGEN SD(ケルジェン エスディー)シリーズ製品(※1)に加え、3種類の熱電発電関連製品を2月14日より発売しました。 また、新製品の発売にあたり、熱電EH振動センサデバイスの性能と通信網を手軽に評価するための熱電EH振動センサ スタータキットを同日に発売しました。

新製品は、モータやギヤなどの回転機器に設置するだけでその熱で自己発電し、振動と温度をセンシングしてデータを無線送信する熱電EH(※2)振動センサデバイス 「KSGD-SV」、KELGEN SDを無線でつなぐ通信機器 「KELGEN SD-Net」、集めたデータをコンピュータのストレージに保存するデータ管理ソフトウェア「KELGEN SDM」の3種類です。
世界初FFT(※3)解析を搭載した「電池レス x 配線レス」の熱電EH振動センサデバイスKSGD-SVは、振動センサの設置からデータの可視化までを簡易に構築でき、設置工事費を大幅に低減できるほか、短時間での設置・増設が可能なため、工場や設備のレイアウト変更に柔軟に対応できます。さらに電池交換が不要でメンテナンスフリーです。

設備故障の原因の約5割は回転機器で発生しており、回転機器の劣化の初期段階で振動の異常が観察されます。継続的に設備の状態を測定することにより、異常を早期に検知し、故障に至る前に保守用部品の調達と生産計画を調整して適切なタイミングで保全を行うCBM(※4)は、設備故障による機会損失と、修繕費および保守用部品在庫の削減に有効と期待されています。KSGD-SVは、TBM(※5)からCBMへの設備保全の高度化を推進し、生産性の向上に貢献するセンサデバイスです。

【写真:新発売の製品】

写真:新発売の製品
写真:新発売の製品

【製品の特長】
KSGD-SV(熱電EH振動センサデバイス)

KSGD-SVは、高性能な熱電発電モジュールKELGEN (ケルジェン)による自己発電を電源とした、FFT解析を搭載した世界初の熱電EH振動センサデバイスです。無線規格は低消費電力で小型化に対応する2.4GHz IEEE802.15.4を採用。機器が発する熱により上昇した表面温度と周囲温度との温度差により自己発電し、最小温度差(※6)10℃(無風状態)から動作します。
KSGD-SVは、モータやギヤなどの回転機器に置くだけで、その熱で自己発電して振動と温度をセンシングし、無線でデータを送信します。FFT解析を搭載したKSGD-SV2-A01は、振動加速度に加え、速度RMS測定機能を備えます。

微小モジュール 一覧表
微小モジュール 一覧表

KELGEN SD-Net (KELGEN SD用 無線通信機器)

KELGEN SD-Netは、KELGEN SDによりセンシングしたデータをつなぐ無線通信機器です。ネットワークはKELGEN SDの接続台数等により、標準ネットワークと小規模ネットワークの2種類です。標準ネットワークは親機1台でKELGEN SDを最大200台接続できるほか、中継器を複数台設置することで、センシングデータを1km以上伝送できる冗長性と堅牢性を向上させたメッシュ型(通信経路固定、最大3経路)のネットワークです。小規模ネットワークはKELGEN SDを約20台~30台接続でき、データを中継器により最大5段までホッピングできるコンパクトなネットワークです。また、KELGEN SD-Netの設置を支援するツールとして、センサの設置場所から親機までの無線の状況を確認するSD-Net電波強度確認ソフトウェアが付属します。

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写真:新発売の製品
写真:新発売の製品

KELGEN SDM (KELGEN SD用 データ管理ソフトウェア)

KELGEN SDMは、KELGEN SDがセンシングしたデータをコンピュータのストレージに保存するデータロガーです。測定の間隔が設置環境に左右されて不規則となるEHデバイスのデータを、市販の集計ソフトで簡易に活用しやすいように、センシングしたデータは生データに加え1分平均のデータをcsv形式でそれぞれ保存されます。また、KELGEN SDMにはデータ可視化の簡易機能も備えており、複数のPCからウェブブラウザにてデータを確認できます。

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熱電EH振動センサ スタータキット

熱電EH振動センサ スタータキットは、熱電EH振動センサデバイスの性能と通信網の初期評価を目的としたスタータキットです。熱電EH振動センサデバイス1台に加え、小規模ネットワーク機器(親機1台と中継器3台)とSD-Net電波強度確認ソフトウェアおよびKELGEN SDMを含み、機能を限定することでお求めやすい価格としました。
熱電EH振動センサ スタータキットにより、振動センサの設置からデータの収集までを短時間で簡易に設定することができ、熱電EH振動センサデバイスによる設備監視を手軽に評価することができます。

微小モジュール 一覧表

※1 KELGEN SD(ケルジェン エスディー)シリーズ製品: 熱電発電モジュールKELGENを搭載した、熱電EHを電源とするセンサデバイス。振動センサデバイス KSGD-SVのほか、熱電対センサデバイスKSGD-ST(K熱電対、B熱電対、R熱電対の3種類)とアナログ入力(4-20mAまたは1-5V)デバイスKSGD-SAがある。

※2 EH:Energy Harvesting、環境発電。エネルギーハーベスティング。環境中の微小なエネルギー(熱,光,振動,電波,等)から電力を得る技術。

※3 FFT:Fast Fourier Transform、高速フーリエ変換。測定した振動を解析して周波数成分に変換するアルゴリズム。

※4 CBM(予知保全):Condition Based Maintenance、設備の劣化状態を把握・予知して部品の交換などを行う状態基準保全。

※5 TBM(時間基準保全):Time Based Maintenance、一定の時間間隔で部品の交換などを行う保全)

※6 温度差:KELGEN SD本体部の受熱側の表面温度と周囲温度との温度差